オタクですが何か?

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死んだはずのオタクが〇〇を目指す

プロローグ

 

 


5月14日6時24分、俺はこれから自殺する。

そう決断したときは俺以上に辛い人なんてこの世の中に五万といるなんて考えもしなかった。考えてる余裕がなかったと言った方が正しいのかもしれない。

仕事、学校、親、人には大なり小なり悩みは尽きない。それらが限界値を超えた時、人はこういう風な考えに行き着くんだと思う。それに今日の今日思いついたわけじゃないずっと考えていたことだったから行動にうつすのも早かった

 

 


朝6時50分、学校へと向かう時間、連絡が取れないよう携帯と置いていき車に乗り込み、いつもと逆の道を走った。

長らく過ごしたここにはもう、帰ってこない。

 

 

 

どうせ死ぬんだったら自分が稼いだ数少ない金は全て使ってから死のう。まず初めにそう思った。

今考えると、そんなに死に急いでなかったのかもしれない。ただこれが厄介なものだった

これまで大好きだったアニメ、漫画、ゲーム、パチスロ、が何にも感じなくなってしまっていた。もちろん食事なんかも同じだ。

何をやっていてもまさしく空虚。空っぽで虚しくなるだけだった。

 


結局それは、寝泊まりする料金と家出の費用になった。

ただ、人間は不思議なもので明日死のうとしてる人間でも腹は減る。それに幸せを見出せないだけで

なので、案外すぐにお金は尽きた。

 


家出をした翌日なるべく、人にも迷惑かけたくない電車のホームになんか落ちた日には遺族に申し訳ない。結果、死に場所は見知らぬマンションになった

 


見知らぬ土地、見知らぬ景色、きっと俺を見つける人も全然縁もゆかりもない人なんだろうその人には申し訳ないと思う。遺書は置いておくから自殺で警察は動いてくれると思うし大丈夫かというかもう疲れた。

そんなふわふわとした感情の中に混じる少しの不満と不安を抱え落ちようとした

その瞬間、

 

 

 

 

地面と目が合ってしまった。

 

 

 

 

こんな話を聞いたことがある。

自殺しようとしてSNSに投稿した人には下を向かせるといいそうすると恐怖心で落ちれなくなる。

当時は、そんなバカなことがあるかなんて他人事だと感じていた。まさか自分が体験することになるとは。。。

本当に落ちれない

ふわふわした感情が消え去り恐怖心だけが心を支配していた。

車に戻り予定を変更した。練炭なら眠るように死ねるらしいからそれにしよう。

 


けれども、練炭を買う金を残すとするとどこかで夜を過ごす金までは残ってない。

仕方がないので車で朝まで過ごすことになったがそんな人間が簡単に寝れるはずもなく結局朝方まで、起きて眠気に苛まれて事故だけはゴメンだ。

 

 


仮眠を取ろうとコンビニに寄ったのが間違えだった。昼頃、コンコンと窓を叩く音で目覚めるとそこには救急車と救助隊の方が心配そうな表情でこちらを伺っている

話を聞くに運の悪いことに向かいに住んでる方が車で人が倒れてると救助を呼んだらしい

しかし、こちらとしてはここでバレたら元も子もない平然を装い質問に答えていく。

一応警察にも連絡しますね。

内心俺はえっ!?と思ったがそれを顔に出したらバレるここは素直に「はい」と答えてしばらくすると警察の方が来てさらに突っ込んだ質問されて車の中の捜査も始まった。当然そこには遺書も入ってるわけで、、両親も捜索届を出してしたらしく車のナンバーも割れていて話はトントン拍子だった。

警察に保護され母親と祖母と祖父が迎えに来た。

あの時の大人たちの顔は今でも忘れられない。俺を叱る警官と泣いてる母親と祖母、何も言わずにただ黙って悲しそうな表情を浮かべる祖父。

 


これで、俺の逃走劇も終わり。いつもの日常に戻れるなんて生ぬるいもんじゃなかった。

手の震えで飲み物はこぼすわ。外には出れないわ出れたとしても学校の敷地の前まで行っては帰ってくる入れたとしてもすぐに気分が悪くなり吐いてしまう。夜も眠れないし、食べ物も食べては戻す、手の震えで何もできたものじゃないそんなことの繰り返し紙に火をつけるなんて日常茶飯事だった。見兼ねた両親は心療内科に通わせた。

 


そんな生活も2、3週間すると出来ることが少しずつで出て来た

たった、2つだけどね。

それらは、家族以外の人と話すことと音楽を聞くことだった。元々話すことは好きだったし、音感も悪くはない。むしろ、歌ったりするのも好きな方だったし、自信があった。

1ヶ月も経つとブログも更新できるようになったし、バイトをしに外にも出れるようになった。学校の方には休学という形にした。

半年以上もしくはそれ以上の時間ができた。

その途端ふと思った。オーディション受けてみるか。。。。。

 


これは1度人生を諦めた人間の失うものが何もない物語