オタクですが何か?

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非モテオタクの恋愛日記

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プロローグ

「20歳にもなって童貞なの??」

「え???」

2年前程前、バイト先の先輩からの言葉が頭から離れられない。実際月日が経っても、相変わらず浮いた話ひとつない俺。。

親にも、「そろそろ彼女の1人や2人紹介してほしいな〜」と親戚やママ友の子供たちから浮いた話が出るたびにそう言われる。

 


「いやあ、趣味が今は楽しいしー。ほら、高校も男子校だったからさー。。」

 


「でも、高校の友達の〇〇君と〇〇君、同じ部活の〇〇君も彼女いるでしょ??少しは身なりに気を使ってみたらー?」

 

 

 

 


 この手の流れになると体裁が悪くなっていつも「ちょっとどこに行くのよー?」が聞こえる前に何となく誤魔化してその場から立ち去るようにしている。

しかし、モテない側からの言い分も聞いてほしい。現代社会において娯楽はかなり多い。一昔前で有ればいわゆるオタク文化と言えばゲーム、アニメ、漫画で終了していたものの今は、ゲームひとつにしてもネットの普及での対人ゲームのしやすさ、そして1マッチごとにかかる時間の延長。アニメ、漫画に関してもここ数年で爆増しているため1クールに全部追っていると追い尽くせないほどになってしまっている。なにより、先ほども言ったネットの普及によってどうが配信コンテンツがかなり増えてこれもまた、コンテンツのクオリティが高い。好きなものを好きなだけ摂取していると彼女なんて作っている暇はない。

だいたい、彼女なんか作った暁にはやれ、デートだの?旅行だの?プレゼントだの?でお金はかかるわ「今は2人の時間でしょ?」なんて言われてゲームもできなくなってしまうじゃないか。だったら、1人の方が自分のために時間とお金全部使えるしいいじゃん!!

でも、ちょこっとだけそういうのは興味あるし、最近、広告でよく見る出会い系サイトやってみよ。

 


ー1か月後ー

 


「玄関前にセミがいるかも知れなくてデートに行けないって何やねん!!」

 


ーさらに1ヶ月後ー

 


「あ、あ、私〜、これまで彼氏とかもそのいたことなくて〜、、こういうの初めてなんですよ〜」

 


「あはは、面白いね〜」

(おい、風俗で出てきても即チェンジやぞ)

 


ーさらにさらに1ヶ月後ー

 


「人を好きになる気持ちがわかんないの…ごめんなさい。体だけの関係ならいられる…」

 


「そっかー」

(お前、こっちの金と時間散々使っといてよく言えたなそのセリフ)

 


おい結局彼女できてないんだが!!

ワンナイトしただけで、彼女はできてないんだけど!!!

実際、SEXもやってみるとそこまで良くはないぞ!

好きでもない可愛くも相手にやるとなんか逆に申し訳なくなってくるぞ!!!だったら高級風俗で無茶苦茶可愛い女の子に絞られた方がいいわ!

 


もう何をしても無理やな〜

しがない深夜のコンビニ店員じゃリアルの出会いも見込めたもんじゃないし、せいぜい月々4,000円で出会い系サイトと風俗を反復横跳びするだけで20代終えそう。。

 

 

 珍しく夜勤でも2人体制の俺のバイト先は、ある程度仕事が片付くと雑談に入る。年が近い男の子で、結構見た目的にも陽キャっぽく人懐っこいので年相応の話題を振ってくる。

 


「俺さん(名字)って彼女います??」

 


「いませんよー。いるふうにみえます??」

 


「えー、いても不思議じゃないです〜」

 


自分で言うのもなんだが、身長は平均より高くよく言われる。最初は「俺そう言うふうにみられるんだー」友人に言ったら、「お前、それただ質問の返答に困ってるから社交辞令だぞ」と言われて以来かなり怯えている。

この手のものは全部社交辞令なので、オタクの皆さん俺のように勘違いしないでください。

 


「じゃあ、質問変えますね。このお店結構みんな可愛いじゃないですか〜その中で誰がいいなとかあるんですか??」

 


「いや、別にいないですけど。そういう田中さん(偽名)はいるんです??」

 


「朝勤に君さんっていうもうとんでもない美人がいるんですよ!!みたことあります?」

 


このコンビニ田舎のくせに案外女性スタッフが全体的に若く、美人も多い。マスク効果があるにしても、オフメタの外人さんからキレイ系のお姉さん、守ってあげたくなっちゃう可愛い系までいろどりみどりである。今、一緒に入っているこの子も身長は低いもののバンドのイケメンボーカルみたいでかっこいいし…

 


「知らなーい。そんな美人なら絶対手に入れないとですね!!」

 


「全然、俺じゃ手には届かなそうな雲の上の存在ですよ」

 


満更でもないように笑っている彼を見て、あーこう言う感じで恋って生まれるだなと妙に達観してしまった。

 


「でも、おめでとうございます。俺さん、今日の朝、君さんシフト入ってます!!」

 


「おー。そりゃよかった!!」

 


しがないオタクにとっては、ひと目見られてこいつないなと切られて終わりだろうけど顔を拝むだけなら別に犯罪じゃないしと期待に胸を膨らませつつ待つことにした。

人件費削減で5時からの1時間は1人体制になる。そのため君さんに会うためにはどちらかが帰らなければならない。じゃあ、もっと削ることあるだろと思っていたが、田中さんは「俺はまた7時過ぎに会いに来るんで!!」グッと親指を立てながら気取っているが、それちょっと怖いと思う。

それもそれで彼なりのアピールなのかも知れない。厚意として受け取っておくことにした。

 


 1人になるといつもやることがない。朝の5時にわざわざコンビニに来る人なんてかなり限られた常連さんくらいなものである。

人気[ひとけ]のないコンビニでやることといえば、せいぜい夜用の店内bgmが朝用に変わるのを聴きながらタバコ売り場の前に腰をかけてぼーっとすること。眠気のせいもあってか頭もぼんやりしてることが自分でもわかった。

6時前、聞き慣れた入店音に反応して、「らっしゃせー」と決まり文句を言うだけのbotと化していた俺は、完全に油断していた。

 


「おはようございます〜」

 


隣に美人が立っていた。。。

しばらく見惚れてしまった。人生であった中でも3本の指に入るほどに可愛かった。だから、こそこの時に戻れるなら自分を殴りたい。

 


「付き合ってもらってもいいですか?」

(おはようございます〜)

 


「「え??」」

 

この時は自分の発言と思考が逆になってることって本当にあるんだなと涙目になって痛感していた。